Debian は、Linuxカーネルや GNU ツールセットが必要とする以上のハードウェアを要求しません。それゆえ、Linuxカーネル、libc、gcc などが移植されていて、Debian の移植版が存在すれば、どんなアーキテクチャや プラットフォームでも Debian を動作させることができます。すでに Debian GNU/Linux でテストされている 64-bit PC アーキテクチャシステムの詳細は、 https://www.debian.org/ports/amd64/ にある移植版のページを参照してください。
この節では、64-bit PC でサポートされるハードウェアの様々な設定のすべてに触れることは避け、一般的な情報とさらなる情報が見つけられる場所へのポインタを紹介します。
Debian GNU/Linux 13 supports 7 major architectures and several variations of each architecture known as 「flavors」.
アーキテクチャ | Debian での名称 | サブアーキテクチャ | フレーバー |
---|---|---|---|
AMD64 & Intel 64 | amd64 | ||
ハードウェア FPU がある ARM | armhf | 複数プラットフォーム対応 | armmp |
64bit ARM | arm64 | ||
64bit MIPS (リトルエンディアン) | mips64el | MIPS Malta | 5kc-malta |
Cavium Octeon | octeon | ||
Loongson 3 | loongson-3 | ||
Power Systems | ppc64el | IBM POWER8 以降のマシン | |
64bit RISC-V (little-endian) | riscv64 | ||
64bit IBM S/390 | s390x | VM-reader や DASD からの IPL | generic |
この文書は Linux カーネルを用いた 64-bit PC アーキテクチャへのインストールを扱います。Debian がサポートしている他のアーキテクチャに関する情報を探しているなら、Debian 移植版 のページをご覧ください。
技術的観点から言えば、ラップトップコンピュータは普通の PC です。ですから、PC システムに関する情報はすべて、同じようにラップトップに適用できます。最近のラップトップコンピュータへインストールすると、蓋を閉じて自動的にサスペンドしたり、wifi インターフェースを無効にする特殊なハードウェアボタン (「機内モード」) も大抵うまく動作します。とはいえ、ハードウェアメーカーが、特殊なハードウェアや閉鎖的なハードウェアを使用している場合、そのラップトップ固有の機能がサポートされていない可能性があります。特定のラップトップが GNU/Linux でうまく動作するかどうかを知るためには、Linux ラップトップページ をご覧ください。
このアーキテクチャでは、マルチプロセッササポート (「対称型マルチプロセッシング」 や SMP と呼ばれている) が利用できます。Debian 13 の標準カーネルイメージは SMP-alternatives をサポートするようコンパイルされています。これにより、プロセッサ数 (やプロセッサコア数) を検出し、単一プロセッサシステムの場合には、自動的に SMP を無効にします。
もともと、複数のプロセッサがあるコンピュータはハイエンドサーバシステムのみのものでしたが、近年では「マルチコア」と呼ばれるプロセッサの登場により、どこでも当たり前のものになりました。これには、1 つの物理的なチップに、「コア」と呼ばれる複数のプロセッサユニットが搭載されています。
Debian のグラフィカルインターフェースのサポートは、X.Org による X11 システムやカーネルでサポートされているかどうかで決まります。デスクトップ環境は X11 を利用するのに対し、基本的なフレームバッファのグラフィックはカーネルにより提供されます。3D ハードウェアアクセラレーションやハードウェアアクセラーションビデオといった、高性能なグラフィックカードの機能が有効かどうかは、システムで使用する実際のグラフィックハードウェアと、ある状況下では、追加 「ファームウェア」 ファイルのインストール (「ファームウェアが必要なデバイス」 参照) に依存します。
モダン PC では、グラフィカル表示は大抵の場合は特に設定不要で動作します。非常に多くのハードウェアでも、3D アクセラレーションも設定せずに動作しますが、それでもいくつかのハードウェアではきちんと動作するにはファームウェアのバイナリファイルを必要とします。簡易なグラフィック表示にすらグラフィックカード用の追加ファームウェアのインストールが必要な場合があった、という報告もいくつか挙がっています。
サポートされているグラフィックハードウェアやポインティングデバイスに関する、より詳細な情報は https://wiki.freedesktop.org/xorg/ にあります。Debian 13 は X.Org バージョン 7.7 を採用しています。
Linux カーネルがサポートしているネットワークインターフェースカード (NIC) なら、インストールシステムでもほとんどサポートしています。ドライバモジュールは、通常自動的に読み込まれます。これにはラップトップにある、ほとんどの PCI/PCI-Express カードと PCMCIA/Express カードが含まれます。
ISDN はサポートしていますが、インストール中には使用できません。
一般的にワイヤレスネットワークは、よくサポートされており、公式 Linux カーネルでサポートしているワイヤレスアダプタの数は増加していますが、多くはファームウェアの読み込みが必要です。
ファームウェアが必要な場合、インストーラはファームウェアのロードを促します。インストール中のファームウェアのロードについての詳細は、「見つからないファームウェアの読み込み」 をご覧ください。
公式 Linux カーネルでサポートされていないワイヤレス NIC も Debian GNU/Linux で動作しますが、インストールの間はサポートされません。
ワイヤレスに問題があり、その他のネットワーク機器がインストール中に使用できない場合でも、DVD イメージを使用して、Debian GNU/Linux をインストールできます。ネットワークを設定しないようにし、DVD にあるパッケージのみを使用してインストールを行ってください、インストールが完了後 (リブート後) に、必要なドライバとファームウェアをインストールし、ネットワークを手動で設定してください。
いくつかの場合、必要なドライバが Debian パッケージとして利用できないことがあります。その場合、インターネットから利用できるソースコードがあるかどうか探し、自分でドライバをコンパイルする必要があるでしょう。どのように行うかはこのマニュアルでは扱いません。利用できる Linux のドライバがない場合、Windows のドライバを利用できる ndiswrapper
パッケージが最後の楽園になります。
点字ディスプレイのサポートは、brltty
で見つかる基本的なサポートにより決定されます。brltty
で動作するほとんどのディスプレイは、シリアルポートや USB、bluetooth で接続します。点字デバイスサポートの詳細は、 brltty
ウェブサイト にあります。Debian GNU/Linux 13 では、brltty
のバージョン 6.5 を提供しています。
ハードウェア音声合成デバイスのサポートは、speakup
でサポートしているかどうかで決定されます。speakup
は、統合基板やシリアルポートに接続された外部デバイスのみサポートしています (USB やシリアル-USB変換、PCI アダプタはサポートしていません)。ハードウェア音声合成デバイスのサポートについての詳細は、speakup
のウェブサイト にあります。Debian GNU/Linux 13 では、speakup
のバージョン 3.1.6 を提供しています。
Linux は、マウス、プリンタ、スキャナ、PCMCIA/CardBus/ExpressCard、USB デバイスなどの様々なハードウェアに幅広く対応しています。しかし、システムのインストールに、これらのデバイスが必要なわけではありません。
USB ハードウェアはたいていうまく動きます。非常に古い PC システムでは、USB キーボードの追加設定が必要かもしれません (「気をつけるべきハードウェアの問題」 をご覧ください)。昨今の PC では、USB のキーボードやマウスは、特に設定せずに動作します。